フランスの最も美しい村協会は、1982年にコロンジュ・ラ・ルージュ村の村長が発起人となって設立された。
・人口2000人以下であること。
・保護されている2以上の重要文化財/歴史記念物があること。
・村議会で承認が得られていること。
これら3つの前提条件を見たした村が応募資格を得られ、27項目にも及ぶ厳しい基準によってさらに審査され、資格委員会に認定された村々が加盟している。
卓越した美しさを持つ「最も美しい村」の価値を高め、少しでも多くの人々に知ってもらうことで、村の過疎化に対して新たな選択肢を与えることを目的としている。
プロヴァンス・アルプ・コート・ダジュール地方
No.5 ルシヨン
村にある赤い山で採取できるオークルと呼ばれる天然顔料によりこの村は経済的に発展を遂げ、18世紀には豊かな村となっていた。この顔料を村のいたる所に使用しており、建物のほとんどが彩られ、また、風雨にさらされることでより味わい深い色彩を帯びるようになり、赤い村や黄土色の村、さらにはピンクの村としても有名だ。
広めのパーキングがあるのでスムーズに車を駐車することが出来たが、ほぼ満車に近く、人気の村であることがよくわかる。それでも人混みの混雑という訳ではなく、ゆったりと村内を散策できるので、一大観光地と違ってストレスを感じないのが大変良い。
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現在は、フランスの最も美しい村にも認定されており、観光客も沢山訪れて賑わっている。
村に一歩踏み入れるだけで、その特異性に驚くことだろう。村中の色彩が非常に個性的であり、極めて印象的だ。人口は1303人(2018年)。
作品プロフィール:ルシヨン 、 op.15390、8/14,2019
村内の集落は、このように赤・黄土色・ピンクなどの壁が寄せ集まった極めて個性的な街並みだ。
絵具で塗分けているかのように鮮やかだ。
この日は晴天で青空が美しい中であり、なおかつ、日が傾きかけた時刻に訪問したので、集落自体が燃えるような鮮やかな色彩を帯びており、非日常的な雰囲気を満喫出来た。
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この鐘楼はカトリック教会に隣接しているもので、19世紀の昔、この村の入口にあたる門が存在していた場所に建立されたとのことだ。
鐘楼の真下には大きな時計が設置され、集落の象徴のように聳えている。
作品プロフィール:鐘楼を見守る白猫 、 op.933、8/14,2019
展望台に向かって進む途中にあるサン ミッシェル ド ルシヨン教会。
村の中ではほぼ最上部にあたるであろうか。
オレンジ色をした壁のシンプルな造りのカトリック教会だ。現在の建物の建立は17世紀だが、11世紀後半にはすでに教会が存在していたらしい。
作品プロフィール:サン ミッシェル ド ルシヨン教会、 op.15405、Aug.14,2019
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展望台からの眺望。
ルシヨンは、パーキングや集落の中心地からの高低差はそれほどないので、楽に展望台やカトリック教会まで散策出来る。
それでも高台に位置するので、展望台からは広々とした絶景を楽しめるのが良い。
森の合間にも赤土が顔を覗かせているのがよくわかる。独特な光景だ。
作品プロフィール:ルシヨン展望台からの眺望、 op.15408、Aug.14,2019
太陽が傾いてきた時刻に、一段と燃えるような赤い土を見せるルシヨンの崖。
人工的に削られてこのようにむき出しになっているようだ。
この地域の土は、明らかに周辺地域とは違っていることが不思議だ。
なお、かつてオークルを採取していた場所は、現在は散策路として整備されており、赤土を間近で見ることができる。
作品プロフィール:ルシヨンの赤い土、 op.959、Aug.14,2019
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フランスと赤い土と聞いてまず思い浮かべるのが、テニスの4大大会の一つである全仏オープン会場ローランギャロスの赤土のクレーコートだ。
ルシヨンの赤い土を見ていて気になったので、改めて調べてみると、ルシヨンとは全く関係が無いことがわかった。
あのクレーコートの赤土は、レンガ造りの家が多いフランス北部ランス近郊で造られた穴開きレンガを粉々に砕いて使用しているそうだ。